「寄り添って、寄り添われて」を読んで

たくさんの衝撃を受けた本だった。

この本に出会えてよかったと思った。

 

職業人としての覚悟。

母親としての覚悟。

 

主にこの2つについて考えさせられた。

 

職業人としての覚悟。

自分の仕事が人の生と死を分けるというプレッシャーと常に向き合ってきた筆者。

たとえ家族との時間を犠牲にしても真摯に仕事に向き合う。

しわ寄せを受けても、大事な仕事だから、と、家族に思ってもらえるような仕事の仕方をしている。

どんな状況でも、開き直らず、患者の気持ちに寄り添おうとする精神力。

医者に限らず、難しい仕事であればあるほど、人は自分の心を守るためにクライアントとは距離を置きたくなると思う。そうではなく、患者の立場に立ち気持ちに寄り添う強さ、自分自身の心と闘う強さがすごいと思った。

医師を志した初心を忘れない。日々の仕事での気づきに基づく反省も忘れない。常に謙虚。

今の自分の仕事にないものばかりだった。

そして、毎日このように精力的に仕事をする人の考え方を擬似体験できたのは貴重な経験だった。

こんな覚悟を持って仕事をしたいと思った。

 

母親としての覚悟。

作中に、重い病気や障害を抱える我が子を持つ母親が何人もでてきた。

その誰もが、自分が選んでそのような立場に立ったわけではないのに、小児科医である筆者が関心するような人格を備えていて、常に我が子を第一に考えた選択をし、献身的な子育てをしてゆく。

自分は、我が子に万が一のことがあったとき、当然のようにそのような対応がてきるだろうか。

そもそも自分は今、我が子を第一に考えた行動ができているだろうか。

自分は天から命を預かる資格があるだろうか。

自問自答させられた。

 

仕事で自分が情けなくなったとき、母親として自信がなくなったとき、再読したいと思う。

そうすれば、もっともっと高いレベルで自分と闘い顧客に寄り添っている人がいると、そして、母親とはこんなに強く、賢くなれるものなのだと、勇気をもらえるだろう。

そんな本だった。